【モバマス】カワイイボクらは斃れない【アニデレ】
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8: ◆ZDnQS3y4DE[sage]
2017/08/25(金) 01:11:37.63 ID:l79BlxhkO
「つまり、木村夏樹と松永涼の変わりに自分たちを起用して欲しいと?」
机の脇に寄せて置いてあるノートパソコンのキーボードを叩きながら、美城常務は机を挟んで立っている幸子を見る。パソコンのモニターには社内ネットワークの輿水幸子と白坂小梅のプロフィールのページが呼び出された。
「はい、突然のメンバー不足でお困りだと思ったのでボクたちがお力になれればと。」
対する幸子は、笑顔でそう告げた。
「松永涼が離脱を告げたのは30分前のことだ。君達のプロデューサーはこのことを知っているのかね?」
「先ほど電話で確認を取りました。全てボクに任せてもらえるとのことです。プロデューサーさんは今営業で外に出ているもので。」
「後から時間を取ろうとは思わなかったのか?」
常務がキーボードから手を放し、幸子に向き直る。言葉は自分たちの非常識さをとがめるような内容だったが、声色や表情に不機嫌な様子はない。
しめた、そう幸子は思った。
「今日は新プロジェクトの為に2時間ほど用意していらしたそうなので、今ならお話するお時間があるかと。それに時間を開けて他の人に取られてしまっては元も子もありませんからね。」
輿水幸子は自分たちが新プロジェクトの仕事を欲しがってることをアピールしながらさらにつづける。
「ボク、輿水幸子と白坂小梅はこのアイドル部門の顔でもある『シンデレラガールズ』の一員です。常務が考える新しいアイドル部門の構想から見ても、ネームバリューとしては十分だとおもいますよ?高垣楓と比べましてもね。」
常務の右の眉が少し動いたが、幸子は気にしない。
「急な革新で常務に不信感を持つアイドルも多いです。デビューを白紙に戻された方もいますしね。そんな中からか新しいメンバーを探すのは時間がかかるんじゃありませんか?運良く見つかっても仕事の内容を聞けばまた夏樹さんや涼さんのように離れてしまうかもしれない。」
幸子は机に両手をつき常務に迫る。
「スケジュールの遅れは会社の不利益に直結します。如何でしょう?新しくお眼鏡にかなうアイドルを探すよりも、仕事内容を理解した上で積極的に売り込みに来る実力も経験も十分なアイドルを今起用してしまった方が、スケジュールの遅れも最小限で済むんじゃありませんか?」
常務はアゴに手を当て突然自分に飛び込み営業を仕掛けてきた3人をしばらく眺めたあと、椅子から立ち上がった。
「いいだろう。しかし起用するかは実力をみてからだ。」
常務は立ち上がり、執務室の扉を開けてこちらに振り返る。
「付いて来たまえ、スケジュールの空きはもう1時間ほどしかない。」
幸子は確信した。この仕事は捕ったと。
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