34: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:32:15.40 ID:qeoTwk+V0
  
  *** 
  
 「あぁ! プレゼントが!」 
  
35: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:32:50.38 ID:qeoTwk+V0
  
  飼育員たちから代わるがわる感謝の言葉を述べられて、握手をせがまれているのは、自分がおそらく誰よりもよく知っているアイドル、その人であったからだ。 
  
  彼女はひとりひとりにいつも通りの笑顔で対しているが、その笑顔の内にある心は泣いているらしい。 
  
36: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:33:22.95 ID:qeoTwk+V0
  
 (あぁ、何度目だろうか、彼女の涙は) 
 (昔は全く見せなかったそれも、僕を信頼してくれるようになってから、何度か見せてもらったね) 
  
  周囲が戸惑いを見せる中、プロデューサーは彼女のそばにそっと立った。 
37: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:34:02.82 ID:qeoTwk+V0
  
 「やっぱり、泣いちゃってますね、まゆ」 
  
  プロデューサーはゆっくりとうなずいた。 
  
38: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:34:41.50 ID:qeoTwk+V0
  
 「いつももらってばかりなのは僕の方さ」 
 「まゆの可愛い姿、いじらしい姿、元気な姿、仕事に真剣で、人に優しくて、たまに周りが見えなくなるくらい一生懸命になる、そんなまゆに」 
 「僕はいつも生きる力をもらってばかりだよ」 
  
39: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:35:24.93 ID:qeoTwk+V0
  
 「それに、今日はまゆの誕生日だ。ちゃんと主役らしく、プレゼントを受け取らなくちゃ」 
  
  プロデューサーは鞄の中から小さな可愛らしい包みを取り出す。 
  包みの角が一つ、クシャっとなってしまっていることに気づき、少し慌てた。 
40: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:36:08.31 ID:qeoTwk+V0
  
  
 「ハッピーバースデー、とぅーゆー」 
  
  
41: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:37:10.50 ID:qeoTwk+V0
  
  高架上の合唱の中、まゆは周囲を見回して、深く一礼した。 
  さっきまでの涙は消え、少し赤みを帯びた頬にはすっかり笑顔が戻っている。 
  
  そして、まゆは真っすぐとプロデューサーに向き直し、小さな声で言う。 
42: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:37:56.47 ID:qeoTwk+V0
  
 以上となります。 
 お読みくださった方々、ありがとうございました。 
 本作は後日、別の媒体でも公開する予定です。 
 また、続編のようなものも近いうちに出せたらいいなぁ、と思っていますので、機会がありましたらよろしくお願いいたします。 
43:名無しNIPPER[sage]
2017/09/08(金) 13:50:25.37 ID:auHjSv75o
 トラックの荷物が事務所に届けば完璧だった 
44:名無しNIPPER[sage]
2017/09/09(土) 02:15:10.38 ID:WYxUb0kBo
 あつ 
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