24: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:24:33.06 ID:qeoTwk+V0
  
 「わかりました。では、今、調整いたしましょう」 
  
 「うむ、よろしく頼む。それでは、乗りたまえ」 
  
25: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:25:09.44 ID:qeoTwk+V0
  
  *** 
  
 「あそこにいた! 時速五十キロぐらいで走ってます!」 
  
26: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:25:59.20 ID:qeoTwk+V0
  
  バスに近づいたところ、ちょうど添乗員が出てきた。 
  
 「あ、あのっ、バスの中に黒い小さな紙袋が、ありませんでしたか?」 
  
27: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:26:38.16 ID:qeoTwk+V0
  バスの天井の上から、幼児ほどもあろうかという影が跳び、二人が声をあげる間もなく、添乗員の手からまゆのプレゼントを奪い去った。 
  
 「キキーッ!」 
  
  ひどく機嫌の良さそうな上ずった声で鳴くそれは、都内のこんなところには全く似つかわしくない猿であった。 
28: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:27:15.10 ID:qeoTwk+V0
  
 「ぬぐぐぐ……」 
  
  アイドルとしてはいささか荒っぽい悔恨を表す。 
  しかし、やはり次の瞬間には、まゆは駆け出していた。 
29: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:27:46.10 ID:qeoTwk+V0
  
  *** 
  
 「あのバスです!」 
  
30: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:28:25.91 ID:qeoTwk+V0
  
  いつの間にかやり取りを後ろで聞いていた支配人が、すぐに電話をかける。 
  どうやら部隊に指示を出しているようだ。 
  
 (それにしても気になるな……) 
31: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:30:00.94 ID:qeoTwk+V0
  
  *** 
  
 「まゆのです!」 
  
32: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:30:44.58 ID:qeoTwk+V0
  
  次の瞬間、猿に向けてスポットライトのように光が当たった。 
  
 「キーッ!」 
  
33: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:31:34.03 ID:qeoTwk+V0
  
  猿はすくみ上った。 
  その一瞬の隙を逃すまいと、まゆの後ろから、猿の背後から、怒涛の勢いで部隊が猿へと駆け寄っていく。 
  
  まゆは、刺又や網が入り乱れる、そのただ中で、プレゼントに向けて走った。 
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