19: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 02:01:58.38 ID:xMQ2bOga0
……赤い月光だけが視界を覆う中、暫し舞台は静寂に包まれていた。
とてもとても長い沈黙に思えたが、
実際のところあれから数分程度だったのだが。
「……プロデューサー、さん。手を……出してくれませんか?」
「……お、おう?」
幕間が終わって再び幕は上がり。
暫くうつ向いていたまゆが伏せ目がちにしたまま、消え入りそうなか細い声で提案してきた。
何をするつもりかは見当もつかなかったが、プロデューサーは兎に角条件反射で手を差し出した。
次の瞬間、スッ……と素早くまゆが動いた。
そして。
「え────あ?」
脳が旧世代のパーソナルコンピュータのように処理が追い付かず、フリーズを起こす。
開いた口が塞がらないということわざを今正に体現してしまっていた。
そんなプロデューサーの様子を見て、まゆが小悪魔のような微笑みで勝ち誇る。
「ふふっ、今回はまゆの勝ち……ですね♪いつもはまゆがドキドキさせられっぱなしなので、
この時くらいはプロデューサーさんにもドキドキしてもらいたいって思って」
────まゆの言葉が頭に入ってこない程、意識がおぼつかない。
何をされたのかが一瞬すぎて見えなかったわけではないのだが。
寧ろ、今も眼球に直接訴えかけてきているのだが。
プロデューサーの脳は限界に近かった。だがそれは無理もない話だ。
意図をつかめぬまま、まゆへと手を差し出した手の指に。
まゆは何処からか取り出した指輪を嵌め込み─────
プロデューサーの左手の薬指には『M to P』と刻まれた、
"何処かで見たことのある"純銀の指輪が嵌まっていたのだから。
23Res/26.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20