21: ◆0PxB4V7kSI[sage saga]
2017/09/08(金) 02:33:58.44 ID:xMQ2bOga0
 婚約指輪(エンゲージリング)。一般的には、男性が愛の告白をするために女性に贈るもの、とされている。 
 でも、女性が男性へ贈ってはいけないという決まりなどない。 
 事実、両思いのカップルがお互いに指輪を渡すことだって普通にあるのだ。 
  
 それは、一つの約束。今はまだすぐには結婚できないけれど、きっといつか2つめを渡す日が来るから。 
 だから、その時まで二人で愛し合い待ち続けましょうという契りを交わした証。 
  
 「……なぁ、まゆ」 
  
 「なんですか、プロデューサーさん」 
  
 「これも、未来日記に書いてあったか?」 
  
 「はい、勿論♪まゆの予定よりも、随分と早くって感じですが」 
  
 「そっか…………」 
  
 ────いつか二人で結んだ、とある約束が脳裏に過る。 
 あの時は効力など持たない、その場の勢いで言った口約束に過ぎなかった。 
  
 『まずは一つ一つ叶えていこう』 
  
 我ながらその低俗さに呆れる。『それ』がどういうことかも正しく理解しないで、覚悟も決めないで無責任なまま、覚悟の決まっていた少女にその言葉を投げ掛けたのだ。 
  
 …………嗚呼。長かった。 
 ──だが、漸くここまで来れたのだ。 
  
 「なら、取り零したものも日々の中でひとつ残らず全部叶えていかないとな。 
 最後の項目を叶える日が来るとき、埋め残しがないように」 
  
 「……うふふ。まゆの未来日記のチャートは、まだまだ長いですよ……♪」 
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