梨子「──"私の音"と誕生日。」
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12: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2017/09/19(火) 00:06:37.14 ID:lKcuUgd9o




いい加減これ以上休むわけにもいかないと思い、9月も下旬に入った週には流石に登校することにした。

これ以上お母さんに心配掛けるのも、申し訳なかったし。

学校に行く支度をする私の姿を見て、少しホッとしているのはなんとなくわかったし、それも含めてこの選択がベストだと思った。

──学校に着くと。


「あ、桜内さん! 体調大丈夫?」


あのクラスメイトの子がいの一番に声を掛けてきた。


梨子「あ、うん……ありがとう、もう大丈夫。」


とりあえず、ここでもこれ以上心配を掛けるのは申し訳ないから、そう答える。

本当は大丈夫じゃないけど。


「そっか、よかった〜…… でもこんなタイミングでアンラッキーだったね」

梨子「……こんなタイミング?」


どんなタイミングなんだろう?

私は少し怪訝な顔をした。


「ほら、誕生日。9月19日だったよね?」

梨子「……え?」

「あ、ごめん…… 体調悪くて忘れちゃってたかな?」

梨子「い、いや……」


それもそうなんだけど


梨子「なんで、貴方が私の誕生日知ってるの……?」

「え?」


彼女は私の言葉を聞いて不思議そうな顔をした。


「なんでって、一学期の始めに皆で自己紹介シート書いたでしょ? それに書いてあったから……」

梨子「あ……」


そういえば書いた気がする。

ふと、あの夏休みの日、彼女が言っていた言葉が反芻される。


『そういえば、夏休み明けたらなんだけど──』

梨子「もしかして……あのとき言おうとしてたのって、私の誕生日のこと……?」


ポロリと言葉が漏れてしまった。



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