35: ◆twOYNJxMJs[saga]
2017/10/06(金) 01:02:05.10 ID:h7xFOhfZ0
「おーい! 悠貴!」
「巴さん!? どうしたんですか?」
少し息を切らせながら巴さんがこちらにやってきました。
「はぁはぁ……よう悠貴、開演には……間に合ったようじゃな……!」
息が途絶え途絶えになっている巴さんの手には何か握られています。
「ほれ……、お前さんの忘れ物じゃ」
「巴さん、これって!」
「悠貴ちゃんのネックレスだ!」
「本当だ……でも、どこで……」
「トレーナーの姉さんが拾っていたそうじゃ、レッスンの準備とかで忙しくて届けるのが遅れてしまったみたいでの、大切なものなんじゃろ? しっかり持っとけい!」
そう言って巴さんはネックレスを衣装の胸ポケットに押し込みます。
自分の胸に手を当てると鍵の硬い感触が伝わってきました。
「巴さん、ありがとうございますっ!」
「お礼ならうちだけじゃなくてプロデューサーやちひろさん達にも言うんじゃな。悠貴が悲しんでいると聞いて必死に探してくれたみたいじゃからな」
「みなさん……」
私の目にはうっすらと涙が浮かんでいました。
夢の中だけではありません。現実の世界でもたくさんの人のおかげでもう一度大切なものに会うことができたのですから。
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