168: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/03/17(土) 20:30:39.18 ID:qbzPlNgx0
 王子「かくかくしかじかで、饅頭を一緒に配ってほしいわけ」 
  
 侍従A「そうだったのですか……」 
  
 侍従B「しかし、殿下も奇妙なことをなさる」 
169: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/03/17(土) 20:34:23.12 ID:qbzPlNgx0
 白騎士「やはり、何か企んでおりましたな」 
  
 鎧の擦れる音。 
 開けたままのドアから、白い甲冑姿の男が入ってきた。 
  
170:名無しNIPPER[sage]
2018/03/18(日) 04:24:59.40 ID:ALzrCYCDO
 乙 
 キチガイ粘着に対するスルースキルを身に付けた様で何より 
  
171: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/03/21(水) 23:21:34.01 ID:xVgsWj+n0
 白騎士と二人の侍従を連れ、王子は工事現場を訪れた。 
 サイコロ型のラピズラズリが、隙間なくぎっしりと積まれている。 
 ゆくゆくは王族の別荘となる場所だ。 
 蒸し暑い真夏の夜、清涼感の溢れる別荘で優雅なひとときを過ごすつもりなのである。 
  
172: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/03/31(土) 13:37:58.76 ID:CbeXd7Pc0
 王子「さあ、遠慮せずに食べてくれ! これは僕からの餞別だ」  
    
  饅頭を盆に載せ、土埃舞う作業場を歩いて回る。  
  王子は奴隷達が目を輝かせて饅頭に飛びつくものだと考えていた。  
    
173: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/03/31(土) 13:57:33.09 ID:CbeXd7Pc0
 奴隷少女「昨夜も炭鉱区で働く女の子が死んだよ。現場監督に嫌われて、鞭打たれて殺されたんだ」 
  
 奴隷少女「あの女の子は、歌が上手でさ。王族にも貴族にも平民にも分け隔てなく声を届ける歌姫になりたいって笑顔で話してた」 
  
 奴隷少女「お前ら王族が、彼女の笑顔を奪ったんだ。それだけじゃない。今も数えきれないほどの奴隷が、不当な暴力で命を奪われてる。その自覚が、あんたら支配層にはあんのかよ」 
174: ◆EpvVHyg9JE[sage]
2018/03/31(土) 13:59:12.77 ID:CbeXd7Pc0
 誤字 
  
 奴隷達は奴隷達は 
  
 ではなく 
175:名無しNIPPER[sage]
2018/04/16(月) 00:37:51.61 ID:0F3DPzqA0
 ほ 
176: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/04/18(水) 22:59:31.45 ID:9B6rFOCH0
 王子と白騎士は互いに一言も喋らず、厨房へ繋がる廊下を歩いていた。  
  あの後、王子は白騎士と侍従二人を連れて逃げるように作業場を立ち去ったのだ。  
  奴隷の心は、奴隷の身分に落とされなければ分からない。  
  王権の庇護下にある王子に、理解できるはずがなかった。  
    
177: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/04/18(水) 23:00:44.51 ID:9B6rFOCH0
 勇者の家。枕元に、二人の男が座っている。 
 一人は羽扇を片手に携えた童顔の小男。 
 一人は鎖帷子を着込んだ、若く精悍な将校である。 
  
 童顔の男が呆れたように呟いた。 
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