200: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/11(金) 00:20:52.18 ID:QmyZmny70
 宿屋の主人「今日は良い風が吹いている。お前ら、オラの合図に合わせるんだぞ」 
  
 三人は牛に踏まれた麦の山を囲んで立った。 
 俄かに、木々がざわざわと揺れはじめた。砂塵が舞い上がる。川面が波打つ。 
 ごう、と一際強い風が吹き荒れた。その時だった。 
  
 宿屋の主人「そーれッ!」 
  
 麦の山へ、三人が一斉にフォークを突き立てた。 
 突き立てるやいなや、すぐさま撥ね上げる。大量の麦が宙を舞う。 
 バラバラとその場に落ちるものもあれば、遠くまで風に飛ばされる殻粒もある。 
 嘘のように風が凪ぎ、また吹き荒れた。 
  
 宿屋の主人「腕に来るだァ? ハハハ、良かったじゃねぇか!」 
  
 ハザラ族に伝わる民謡を口ずさみながら、三人は一定のリズムで麦を宙へ放り続ける。 
 実の詰まった良質な麦は地へ落ちる。中身のない麦は風に流され消えていく。 
 ふるいにかけるより、効率的な選別の仕方だ。バルフではあんなやり方は見たこともなかった。 
  
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