208: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/18(金) 23:27:15.26 ID:w/kGJFk40
 その日の夜は、宿屋の主人と当たり障りのないことを話して終わった。  
  大道芸人になった経緯や、カーブルでドワーフ族に披露した芸についてだ。  
  一応、この村では大道芸人として通っている。  
  勇者であることが宿屋の主人に知れたら、こちらの動きが最悪の場合、国王にまで知られてしまう。  
    
  魔女「ふぅ〜、ご飯おいしかったね〜」  
    
  三階の客室。  
  ほろ酔い加減の魔女が舌足らずな口調で絡んでくる。  
  勇者は魔女を無視し、荷を解いた。織布にくるまれた、一本の剣。  
  先代勇者が佩いていた、伝説の聖剣である。  
  これで魔王アジュダハを討ち取ったのだという。いつ聞いても信じられない御伽噺だ。  
    
  勇者「こんな鉄の塊ひとつで、先代様もよく魔王に立ち向かったよな。町人の俺には到底真似できないことだ」  
    
  魔女「聖剣と先代勇者だけだったら、負けていたよ。戦士、僧侶、ボク。兵站線を担った大富豪。周辺国に援軍を要請してくれた国王陛下。すぐさま要請に応じた大唐国の玄宗皇帝、高仙之将軍」  
    
  魔女「魔王討伐には、敵対する王国軍の力も大きかったのさ」  
    
  魔女はぶっきらぼうに語ると、小瓶にある酒を飲み干した。  
   
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