209: ◆EpvVHyg9JE[saga]
2018/05/18(金) 23:33:05.97 ID:w/kGJFk40
 魔女「これまで全力で支えてくれた人達が、今度は全力で殺しにかかってくる。それが盟友であったとしても」 
  
 勇者「盟友?」 
  
 魔女「王都アルマリクに、弟がいるんだ。まぁ、血の繋がりのない義兄弟なんだけど。ボクはその義弟と切磋琢磨していてね。魔物の討伐数を競ったり、新たな魔法を見せ合ったり、くだらないことで盛り上がったものさ」 
  
 勇者「後悔しているのか?」 
  
 魔女「いいや、これっぽっちも。ただ、次に義弟と会う時はボクと彼のどちらか一方が死んだ時だ、とは思っている」 
  
 勇者「そうか」 
  
 小瓶を傍らに置くと、魔女は両手を上に伸ばした。 
  
 魔女「うぅう〜ん……はぁッ……そろそろ寝ようか。灯り、消すよ」 
  
 勇者「おやすみ」 
  
 ふうっと魔女が燭台の火に息を吹きかける。 
 辺りが暗闇に閉ざされた。 
  
 勇者「魔女……起きてるか?」 
  
 魔女「なに?」 
  
 勇者「いつか、あんたの義弟と会ってみたいな」 
  
 魔女「会わせてあげるよ……いつかね」 
  
 鉄門街道の長い夜が静かに更けていった。 
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