33: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 00:20:02.55 ID:Qezuh/qr0
  
  
  雨吹山の狸一族は、鏡山の小日向一族と長年の仇敵だったといいます。 
  
  私の代ともなればそれほど激しく憎み合ってはいなかったみたいだけど、それでも化け合戦を行うことは時たまあって。 
  
  そもそもの因縁の始まりは、鏡山の日の当たるお堂を巡った縄張り争い。 
  それに勝った私達は「小日向」を名乗り、敗れて雨吹山に移った狸は……ええとなんていったっけ……。 
  とにかく、彼らとは長年の確執があるのです。 
  
  私のことを知っていて、両親のことも知っていて、芳乃ちゃんがそう言うほどの敵対心を持つ相手といえば、それしか思い浮かびません。 
  手紙から漂う別の狸臭もそれで説明がつきます。 
  
  けど、まさかそこまでの強硬手段に出るなんて……。 
  
 「あ、あのっ」 
  
  と、写真を見ていた蘭子ちゃんが声を上げました。 
  彼女は、写真の裏に書かれている文字に一番に気が付いたのです。 
  
  
 『本日正午 藤崎八幡宮 裏手ノ白川沿イニテ待ツ』 
  
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