87: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 01:12:39.69 ID:Qezuh/qr0
  
     ―― 地上 熊本港 
  
  
 周子「――そういえばさ。いっこ釈然としないことがあって、あたしなりに色々考えてたんだけど」 
  
 紗枝「はてぇ?」 
  
 芳乃「ふむー?」 
  
 周子「菜帆ちゃんのこと。こないだ初めて会った時に、あたしは正体に気付けなかった。人間だと思ってたんだよね」 
  
 周子「紗枝ちゃんなら知ってるでしょ? あたし目には自信あるんだ。人かそうじゃないか、見たら大体わかんの」 
  
 周子「そのあたしが一目でわからず、うっかり人間と思ったってことは――」 
  
  
 周子「あの子、人間とのハーフなんじゃないかなぁ」 
  
  
 芳乃「ほー……」 
  
 周子「でも、あるのかなそういうことって思って。そこらへん詳しいお二人的にはどうなん?」 
  
 紗枝「んー……今どきよう聞かへんけど、ひとつも無い話やありまへんなぁ」 
  
 紗枝「それこそ、安倍晴明公の母御が白狐やいう話は狐業界では常識どす。ずいぶん昔の話やけど」 
  
 周子「……ああそっか、晴明神社にもお稲荷様の社あるわ。あれそういうことだったのね」 
  
 芳乃「奄美にもー、鯨の化身を伴侶とした漁師の話が残っておりますー」 
  
 芳乃「他にもー、蛇、犬、馬、猿、はたまた蛤、あるいは鬼などー……健やかに子を成した例もありまするー」 
  
 芳乃「しかるにー、異類婚なるものはー、けして有り得ぬことではないのでしてー。とても珍しきことは、間違いありませぬがー」 
  
 周子「――なるほど。となると、なんとなーく裏が見えてきたような気ぃするね」 
  
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