86: ◆DAC.3Z2hLk[saga]
2017/12/16(土) 01:11:56.46 ID:Qezuh/qr0
  
 「……どうして……そんなに、人間が嫌いなんですか!?」 
  
  狸は良くも悪くも能天気で好奇心旺盛、人間の暮らしにも興味津々。それが普通です。 
  だというのに、ここまではっきり恨みを持つのは、やっぱり何かされたからにしか思えません。 
  
  誰もが一瞬口ごもる中、例のお爺ちゃんがおごそかに口を開きました。 
  
 「決まっとる。人間が、わしらの大切なもんを奪いよったんじゃ」 
  
 「大切なもの……?」 
  
  ピンと来ません。 
  鏡山も雨吹山も、そこまで強引に人の手が入ったことはなくて、自然はちゃんと残っています。 
  人間が狸の暮らしにひどいことをした話は、少なくとも私の代からは聞きません。 
  
 「わからんか」 
 「……わかりません」 
  
  カッ! 
  
  お爺ちゃんの目がいきなり見開かれ、怒りの籠もった叫びが。 
  
  
 「わしの可愛い娘が、人間に嫁ぎよったんじゃあっ!!!」 
  
  
 「「…………ええええっ!?」」 
  
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