喜多見柚「アタシにとっての奇蹟」
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9: ◆tues0FtkhQ[saga]
2017/12/25(月) 18:05:13.09 ID:WtWlSgcZ0





 東京。


 特に行き先を決めてなかったアタシは、適当に人が多そうなところで、電車を降りた。少し歩いて、溶け始めた雪が残る大通りに出ると、通り沿いの並木に飾り付けられたイルミネーションが、立ち並ぶショップから流れるクリスマスソングが、街をお祭り気分にさせているような、そんな気持ちになった。広めの歩道もヒトの波でごった返していて、その中を泳いでいくのはちょっぴり大変そうだ。


 手をつないで歩くカップル、子どもを連れた家族、男の子だけ、女の子だけの仲良さそうなグループ。その誰もが、キラキラと笑って、スキップするみたいに楽しそうで。アタシは目線を少し落とした。


 ぶらぶらと、雑貨屋さんで面白そうなモノを探してみたり、服屋さんでいい感じのパーカーを探してみたり、新しい缶バッジが入荷してないか確かめに行ったり。結局アタシはなんの変わりもなく、いつもと同じようにしか街を歩けなかった。


 クリスマスってなんだったけ。


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