20: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:37:14.36 ID:3B1YHSO30
 そこで話を遮るように、ディレクターの怒声が響く。 
  
  
 「おい!スタッフ!」 
  
21: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:39:20.33 ID:3B1YHSO30
 「……白菊、さん」 
  
  
 先日プロダクションが潰れた時の会議で聞いた名だった。 
  
22: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:41:38.80 ID:3B1YHSO30
 その後2,3用事を済ませ、事務所への帰路に就く。 
  
  
  
 その途中、公園の前を通る時の事だった。 
23: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:44:09.77 ID:3B1YHSO30
 「どうしたの?」 
  
 この時声を掛けた理由は、特にない。 
  
  
24: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:47:09.46 ID:3B1YHSO30
  
 「収録のことかな?」 
  
 そう言われた少女は、少し驚いた顔をした。 
  
25: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:49:48.40 ID:3B1YHSO30
  
  
 「アイドルじゃなくなった?解雇されたってことか?」 
  
 俺の言葉に少女はゆっくりと頷く。 
26: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:52:59.46 ID:3B1YHSO30
 「だから、その人は私なんかとは組みたくなかったらしくて……あっ、でもその人本当にすごいアイドルなんです。すごく可愛くて、お喋りも上手くて……本当に私なんかとは、正反対で……」 
  
  
 そこまで話して、再び少女の頬に涙が伝っていた。 
  
27: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 22:56:03.89 ID:3B1YHSO30
 「いつもそうなんです。事故とか、アクシデントが、私のせいでたくさん起きて……」 
  
  
 これは事故やアクシデントといった突発的なものではない。 
  
28: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 23:00:59.74 ID:3B1YHSO30
 「ダメじゃない」 
  
 えっ、という顔をする少女。 
  
 「ダメですよ……。私は人を不幸にしちゃうんです。呪われてるんです。そんな人は、アイドルにはなれないんです。きっと」 
29: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 23:03:18.17 ID:3B1YHSO30
 だが、財布を落とすのはただの本人の不注意だ。 
  
 そういう人間は普段から財布以外にも物を失くす。 
  
  
30: ◆z4l4K/HkZ2[saga]
2017/12/24(日) 23:06:13.75 ID:3B1YHSO30
  
 「そんな……スカウトですか?私はもうアイドルにはなれません!私は疫病神なんです。関わったら、あなたも、あなたのプロダクションも不幸になるかもしれないんですよ」 
  
  
 ―――――――――潰れたプロダクション、例のあの『疫病神』が所属していたらしいじゃないか 
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