5: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2017/12/30(土) 06:08:42.09 ID:amdXqONW0
島村さんの一言で、耳触りな幻聴がパタリと止まりました。
様々な色を混ぜ合わせた絵の具たちが、黒一色になる直前のようであった視界が一瞬で正常に戻る。
イタズラの内容は……私の頬を、指で突いたこと?
目を真ん丸と見開き、まじまじと島村さんの指を改めて見る。
私が見慣れている三十男のそれとは違う、十七歳の瑞々しい少女の指先。
見るからに柔らかそうで、きっと弾力もあるのでしょう。
そう――寝ぼけた私が、唇だと勘違いするほどに。
「プ、プロデューサーさん!? 突然どうしたんですか!?」
「だ……大丈夫です。なんでも……なんでもありません」
恥ずかしさで耳まで真っ赤になったことが鏡を見るまでもなくわかり、ハンドルに顔をうずめる。
私は、何を考えていたのか。
十七歳の人気アイドルが、キスをしたと考えていた。
誰に?
……こんなありもしない妄想をいい歳になるのにしてしまう、私なんかに。
「〜〜〜〜〜っっっ」
「プロデューサーさん? プロデューサーさんしっかりっ」!?
私の恥辱による悶えは、前の車が進み後ろからクラクションが鳴るまで続くのでした――
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