勇者「ニートになりたい」
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29: ◆7Ub330dMyM[saga]
2018/01/10(水) 10:33:30.05 ID:OsAGEgfJO
【平原】

僧侶「まっ、まってくださぁ〜い」トテトテ

魔法使い「ぜぇっ、ぜぇっ、ちょ、ちょっと、なにも走らなくたって」

戦士「いや、あたしは歩いてもかまわんのだが」

勇者「ついてけねぇなら置いてくぞ!」

戦士「こいつがこう言ってるし」

魔法使い「ちょ、ちょっとストップ」

僧侶「もう、走れませんん〜」

勇者「……ったく、しょうがないなぁ。おあつらえ向きに岩があるし、休憩するか」

魔法使い「ふぅ、ふぅ、あんた、やっぱり前衛職なのね? そんなに平気な顔してるなんて」

戦士「あたしも驚いたぞ。スタミナがあるんだな?」

勇者「まぁ、小さい頃からそれなりに鍛えられてたし」

戦士「へぇ……」

僧侶「ふぅ、ふぅ……どうしてそんなに急がれてるんですかぁ〜?」

勇者「はやく転職したいから」

魔法使い「転職って、ひとつの職を極めた人が行うものでしょ? 極めてるようには見えないけど」

勇者「極めてるとか未熟だとか関係ないよ。俺は今の職が嫌いなんだ」

戦士「む。女神様から与えられたギフトに文句をつけるとは」

勇者「ふてぶてしいとはよく言われる、えへへ」

戦士「褒めとらんわっ!」

魔法使い「なんか調子狂うわ。いい? 職業ってのは、言ってみれば名前みたいなものよ。女神様が各個人にあった適職を振り分けてくださってて──」

勇者「カテゴリー分けだろ、要するに」

僧侶「……」

勇者「戦士だの武闘家だの。いいか、職ってのは生業だ。食を得る糧だ。一種の生き様と断言したっていい」

戦士「……」

勇者「“職に貴賎なし”。昔の人は言いました。農夫が魔法使いより劣っているなんて俺はちっとも思わねぇ。みんなそれぞれ精一杯生きているんだ」

魔法使い「わ、私は別に、見下してなんて」

勇者「そうか? 説教する気なんてこれっぽっちもないけどよ。優越感に浸って、有難がってる。俺にはそう見えるね」

戦士「お前は遊び人志望なんだろう?」

勇者「あ、はい」

戦士「毎日遊びほうけて、ちゃらんぽらんな性格してるあの?」

勇者「おっしゃる通りでございます」

戦士「そんなやつが偉そうに言うことか!」

勇者「う、うぅ。なんでや。発言の自由ぐらいあってもええやないか」

僧侶「でも、確かに、一理あると思いますけどねぇ〜」

戦士「……やけにこいつの肩を持つね」

僧侶「神は等しく平等なのですよぉ。私は中立の目線から判断しているに過ぎません〜」

戦士「けっ」

岩「」モコ

魔法使い「あんた、結局、なんの──」

岩「」モコモコ


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