少年「薄氷の僕ら、無人駅」
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3: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2018/02/01(木) 20:09:08.45 ID:3pcH/mqD0
少年「……お!」ピクッ

少年(……よし、かかった!)クンッ

少年「うおっ、こ、これは……」ググッ

少年(すごい引きだっ……! これは大物だぞ……!)

少年「ぐ、ぎぎっ……ああっ!!」ザバッ

少年「お、おお……やった!!」

少年(「星屑イワナ」と呼ばれる魚だ。表面の皮にきらきらした結晶が付いている)

少年「……命を、いただきます」スッ

少年(僕は用意していたナイフで、出来るだけ苦しまないように魚を締める)

少年(その瞬間、抑えていた魚がびぐんと痙攣を起こす)

少年(何度釣っても、この瞬間だけは好きになれない)

少年(そうしてさっさと血抜きを済ませてしまい、それを雪を詰めた袋にしまう)

少年「……よし」

少年(そろそろ帰ろうかな)

少女「此処に居たのね。どう、釣れた?」

少年「! やあ。大物が釣れたばかりだよ」

少年(少女はいつも何処からともなくふわりと現れる。雪みたいな子だ)

少年(村の子供は僕と少女だけ。だから僕らはよく一緒に居る)

少年(彼女が頭を払ってくれたおかげで、ようやく頭に雪が積もっていた事に気が付いた)

少年「星屑イワナが釣れたんだ、ほら」

少女「……わあ、綺麗ね。まるでまだ生きているみたい」

少年「……」

少年(彼女の言葉が突き刺さる。それは僕が奪ったばかりの命だ)

少女「あ……ごめんね。悪気があった訳じゃないのよ」

少年「うん。大丈夫だよ」

少女「少年は優しいのね……ほら、戻ろう?」

少年「……うん」

少年(彼女はそう言うと、僕の手を引いて歩き出す)

少年(彼女の手は温かい)

少年(彼女に触れていると、少しも寒くないんだ)


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