11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/02/22(木) 08:47:35.01 ID:gJQnAjCL0
唇の端に何か液体の感触を感じて、やっと泣いているのだ、と気づいた。ライブ後は頭と体がちぐはぐになる、と私は疲れのせいにした。
「……ナナ、少しお手洗い行きますね」
菜々ちゃんは私に背を向けて楽屋を出た。気を遣ってくれたのだろう。
菜々ちゃんが帰ってこれるように、私もしっかりしなきゃ。気持ちを振り払うために、私はピックから目を離してテレビをつけた。
画面は別のライブ会場を映し出す。ステージはまだ暗く、誰が立っているかわからない。
ギターの音が響き始めた。聴いたことのある、歌ったことのある音色だった。チャンネル替えなきゃ。また涙があふれて、菜々ちゃんに迷惑をかけてしまう。そう思ったのに、目はテレビに釘付けで、手は思うように動いてくれない。
14Res/13.04 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20