ジャパニーズアベンジャーズ 特撮クロスオーバースピリッツ
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14:名無しNIPPER
2018/03/10(土) 01:00:31.16 ID:mfi6AG+4O

「おう、ゆい 元気か?」

「うん お兄ちゃんこそ風邪ひいてない?」

連絡を取る相手は決まって妹の鳥羽ゆいであった。
暇があれば、連絡を取ろうとする兄に対して普通なら嫌気がさすものだろうが、この兄妹の絆なは固く、ゆいもそんな兄からの連絡を心待ちにしている。

「そういえば教育実習あったんだろ? どうだった?」

妹のゆいは教師を目指していて、この前、教育実習があったのだが甲平はそのことが気になって仕方なかった。
生徒はちゃんと言うことを聞いたか、周りの教員は優しかったかなど気になることを事細かに聞き及んだ。
妹想いの良い兄と言えば聞こえは良いが、ここまで来るとシスコンと言われても文句は言えない。

「凄く楽しかったよ それでね、担当したクラスの男の子がコスモアカデミアに興味持ってて色々話したら連休に見学にしに行くって言ってたよ!」

「えぇ!? 日本支部じゃなくてわざわざアメリカ本部に!?」

「うん 行くんなら本部を見たいんだってさ」

甲平は明日の見学者たちのガイドになっている。
つまりその子を案内する可能性が高い。
慌てて明日の見学者の名前を確認すると参加者は三名だけ。
その中で一人、高校生を発見。

「佐原茂君って名前?」

「そうそう、素直で正義感の強いいい子だから優しくしてあげてね」

「おう 任せとけ そういえば健吾とは最近どう?」

甲平がゆいと通信するときに必ず聞くことがある……言ってしまえばそれが一番聞きたいことなのだが……。
それは共にビーファイターとして戦った健吾とゆいの関係について。
以前は友達以上恋人未満だったが一年程前頃からとうとう付き合い始めたことを聞いた。
妹が大好きな甲平にとってその後の関係が心配でしょうがない。

「順調だよ! この前、北海道に二人で旅行に行ってきたんだ!」

本来順調なら喜ばしいことなのだが、その報告は甲平にとっては複雑な心境にしかならなかった。
確かにプライドが高く、融通が聞かない部分もあり、出会った当初はよく衝突したこともある。
しかし共に戦ううちにお互いを認め合い戦友のような関係になっていった健吾を嫌いなはずがない。
だが妹がどんどん自分をから離れていく、必要としなくなっていくことが寂しくて堪らなかった。

「でも最近はあまり会ってないな……なんか昆虫が大量発生したりしてるらしくて健吾さんそのことで忙しいみたい……」

「大丈夫、大丈夫 職業柄定期的に忙しくなるんだから気にすんなって!」

「うん……でもなんか胸騒ぎがするの……またメルザードみたいなのが来るんじゃないか、また戦いになるんじゃないかって……」

「んなわけねーだろ? 心配しすぎだって!」

昆虫の大量発生はほぼ間違いなく闇の意思が起こしている現象……ゆいに心配はかけたくなかったから笑い飛ばして否定したが、近いうちに大きな闇の渦が人類を飲み込もうと押し寄せてくるだろう。

「最近、お兄ちゃんや健吾さんが私を置いて暗い闇の中に消えちゃう夢をよく見るの……だから私、不安で不安で…」

「心配すんな! 何があってもゆいから離れたりしないから 例えまた戦う時がきても俺や健吾が絶対ゆいを守ってやるから」

何とか勇気づけたかった……だから無理にでも明るく振る舞った。
ゆいの今にも泣きそうなくらい不安そうな声が電話越しに聞こえるだけで、胸が痛くなるから。
これから起こるであろう戦いはどんな規模になるかも予測がつかない。
もしかしたらその戦いの中にある闇に俺も健吾も呑み込まれて命を落とすことだってあるかもしれないのだ


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