高垣楓「君の名は!」P「はい?」
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33: ◆PL.V193blo[sage]
2018/04/18(水) 23:47:10.83 ID:hD9nuK1M0

「もしプロデューサーと結婚出来たら、お晩酌はこんな感じかなーって」
「んぐっ!?」
「……あら、また、私の勝ちですね?」

これちょっと濃くありません、なんて言おうとした矢先にそんなこといわれりゃ、誰だって噴き出すだろう。
嬉しそうにぽん、と両手を合わせた楓さんに……謀ったな高垣、なんて言いながら、僕は何連続目かの粗相をした。

(――――――なんだかんだであれから8連敗だよ。もう話すことねえよ! けっこう酔ってきたし!)

酔っているのは完全に、やけくそ気味に杯を空けていく自分のせいなのだが、しようがない。

「梅酒は本当、うめ〜っしゅね〜フフフ……」

酒に酔えば少しは手元もおぼつかなくなると思いきや、楓さんの所作によどみはない。
駄洒落も絶好調だ。20〜30点台のクオリティを連続して繰り出してくる辺り、波に乗っている。

「うふふー、プロデューサー」
「はい」
「……楽しいですね♪」
「……っ!」

肩口に顎を預けるようにもたれてきながら、眼を合わせた瞬間の、えへへと笑った上目遣い。
身長の高い楓さんを普段このアングルで見ることは少ない、それゆえのギャップ。
ちっくしょう、なんだこの人。女神か、あるいは悪魔か。
狙ってやってるなら悪魔だし、無自覚ならやっぱり悪魔だ。生まれつきの女神は悪魔に見える。
……それ、他の男性にやってないですよね?

「ふふっ、さぁ、どーでしょー……――――きゃっ!!」
「おっと!」

ゴトン、と不意に電車が揺れたので、とっさに楓さんを抱き留めた。

――――ご迷惑をお掛けしております。鹿が線路上を通行するため、車両を一時停止しております。ご迷惑をお掛けしております……

鹿かよ。
鹿で電車が止まるなんてのは、僕の地元なんかじゃままある光景だが、こっちに出て来てからははじめてだな。
なんにせよ、緊急事態とかではなくてよかった。

「大丈夫ですか、楓さ……」
「いえ、残念ながら……負けちゃいました。連勝ストップです」
「……あっ」

胸元に飛び込んできた楓さんの梅酒ソーダ割りが、僕の服をしたたかに濡らした。
……ベトベトになるな、こりゃ。



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