曙「百年早い」
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12: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2018/04/26(木) 20:09:20.59 ID:zmYsrQkn0

「出たか」

「うん。行く?」

 最近静かだったのは、やはり避暑に盛んだったからではないらしい。俺は残念に思う反面、そうでなくては、とも思う。
 敵はあくまで敵でなくてはだめだ。例えば俺たちと同じような外見や、文化や、言語を使われては、戦いに躊躇が生まれる。だから深海棲艦がこんな暑さをまるで気にせずに、あぁそうだ、こちらの都合など一切省みないことに、安堵さえ生まれるじゃないか。

 銃口や砲塔の向く先が、同じ人類でないという幸せ。

 俺は編成のウインドウを開き、曙を旗艦に、七駆の三人を放り込む。シフトを別窓で開いて今日の在籍を確認。……三隈と瑞鳳でいいか。敵の規模が大きいようであれば、再度対策を練ろう。

「頑張ってこい」

「うん」

 やけに素直に曙は返事をし、ベンチから跳ねるように立ち上がった。

「頑張るに決まってるでしょ。……見ててよ」

「おう」

 俺も立ち上がった。出撃に伴う報告書類の作成が待っている。艦娘が海上で戦うのならば、俺の戦いは机上。



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