5: ◆nmcoT1iylg[saga]
2018/04/26(木) 23:44:11.69 ID:f2WBlHUh0
目の前の紙は先日手渡した楽譜、だったもの。
楽譜にはたくさんの書き込みがしてあって、元の音符が目を凝らさなければ見えないほどに文字で埋まっていた。
楽譜にはもちろんだが何より圧倒的な文字量だったのが歌詞の部分。一つひとつの単語に意味はもちろん、漢字の成り立ちから類語まで。一体どれほどの時間この紙と辞書に向き合ったのか。
これを見て誰が笑うというのだろう。
何と声をかけるべきなのかわからずに黙っていると、エミリーは小さく言葉をこぼした。
「何度聞いても、何度読んでも、何度見ても、わからないのです。この曲が私にはわからなくて」
「……エミリー」
悲しいのか悔しいのか苛立っているのか、その全てなのか。何とも言えない表情でエミリーはその紙を見つめていた。
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