113:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:06:46.70 ID:A6rjc17z0
  このままではいけません。 
  
 「プロデューサーさん。三日後の午前中に、ほたるちゃんの地元の町内会でイベントが予定されています。 
  これに参加して、本番に向けたPRをしてこようと思うのですが、いかがでしょう?」 
  
114:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:11:15.33 ID:A6rjc17z0
 「理由は二つある」 
  プロデューサーさんは、腰を上げました。 
  
 「まず、距離が遠い。ほたるちゃんの地元は鳥取だったな。 
  新幹線か飛行機で行くにしろ、彼女の経歴を考えると、何かしらのアクシデントに巻き込まれないとも限らない」 
115:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:12:58.10 ID:A6rjc17z0
 「大丈夫だよ、美優さん。むしろ当日まで秘匿させてやろうぜ」 
  
  プロデューサーさんはコーヒーを啜って、ニッコリと笑いました。 
 「えっ?」 
  
116:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:15:46.11 ID:A6rjc17z0
 「……はい」 
  
  私は、この事務所の――ほたるちゃんの力に、なれないままです。 
  
  肩を落として、自分のデスクに着きました。 
117:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:18:59.77 ID:A6rjc17z0
  いつぞやいただいた大量のアイスが、順調に消化され、いつの間にか底をついてきました。 
  
  真夏の暑さがいよいよピークを迎え、フェスの本番も三日後に迫っています。 
  
  
118:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:22:17.27 ID:A6rjc17z0
 「お、おい。ひょっとして空調壊れてないか?」 
 「えっ?」 
  
  
  途中から、妙に暑いと思っていました。 
119:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:24:58.67 ID:A6rjc17z0
 「アタシの責任です」 
  
  スタジオの管理室で、トレーナーさんが頭を下げました。 
  普段の明るい彼女からは想像できない、悔しさに満ちた苦悶の表情です。 
  
120:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:27:14.97 ID:A6rjc17z0
 「私のせいじゃないのなら」 
  
  プロデューサーさんに、私は向き直りました。 
 「一体私は、何のためにいるのでしょうか」 
  
121:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:30:52.14 ID:A6rjc17z0
 「私は、ほたるちゃんのそばにいるべきではありません……!」 
  
  
  
 「おい、待て、美優さんっ!」 
122:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:34:18.53 ID:A6rjc17z0
  ――――。 
  
  
  部屋着にも着替えず、電気も付けず、ボーッとベッドにもたれながら、気がつくと陽が落ちていました。 
  
226Res/193.03 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20