122:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:34:18.53 ID:A6rjc17z0
  ――――。 
  
  
  部屋着にも着替えず、電気も付けず、ボーッとベッドにもたれながら、気がつくと陽が落ちていました。 
  
123:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:36:13.75 ID:A6rjc17z0
  と、そこへ――。 
  
 「……!?」 
  突然、携帯が鳴りました。 
  
124:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:38:08.46 ID:A6rjc17z0
 「えっ?」 
  
  電話口の彼女の第一声は、私が言うべき言葉でした。 
 『余計な心配を、かけてしまいました』 
  
125:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:39:47.78 ID:A6rjc17z0
 『あの後、プロデューサーさんと、お話したんです』 
 「プロデューサーさん……」 
  
 『私は、悔しかったんです。 
  美優さんが、一緒に出られなくなった事が……それが、私の不幸のせいである事も』 
126:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:42:16.32 ID:A6rjc17z0
 「わ、私が……?」 
  
  諦めた――確かに、アイドルとして出る事は、諦めざるを得ませんでした。 
  
  ですが、今さらどうこう出来るものでも無かったのです。 
127:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:46:19.61 ID:A6rjc17z0
 『いえ、美優さん……私の方こそ、勝手なことを言って、すみません』 
  
  ふぅ――と、気持ちを落ち着けるような、長い深いため息が電話口から聞こえました。 
  
  
128:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:48:46.50 ID:A6rjc17z0
  ――――私は。 
  
  お世辞にも、プロデューサーとしての役目を、果たせているとは言えません。 
  ですが――。 
  
129:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:51:10.98 ID:A6rjc17z0
 『……はい』 
  
  しばしの沈黙の後、彼女のすすり泣きがようやく収まり、短くも力強い返事が聞こえました。 
  
  
130:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:53:27.27 ID:A6rjc17z0
  ふと、自分の携帯――正確に言うと、スマホケースに目が留まりました。 
  
  拾い上げ、それを何となしに見つめます。 
  
  
131:名無しNIPPER[saga]
2018/04/29(日) 20:55:32.50 ID:A6rjc17z0
  逸話。 
  
  高いところへ登る習性。 
  
  
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