藤原肇「ただ静かに、あなたのそばで」
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21:名無しNIPPER[saga]
2018/05/05(土) 19:02:31.63 ID:6HNBSVHX0

悪いことをしに来た癖に、悪くないとばかり言い張る。
果たしてそれは、立派な悪い子に違いない。

 「……上手くなったな、理屈を捏ねるのが」

 「得意ですから。捏ねるのは」

肇が得意げな顔をして見せて、その頬に朱が差していた。
小動物が毛繕いをするように全身をあちこち整えて回る。
俺にもよく見えるように、どこまでもそのままのバレッタを二度、撫でた。

 「真面目」

 「……ふまじめです」

 「だろうな。それでいいんだ」

いつの間にか俺は笑い出していた。
久しぶりに愉快だった。
生真面目だとばかり思い込んでいた担当アイドル。
彼女は立派に、不真面目に育っていた。

 「肇」

 「はい」

 「もう18になったんだよな」

 「……はい」

腕時計を確認する。
ちょうどいい。そろそろ草木も眠る頃だ。
月も桜も見ていまい。

 「健全なのと不健全なの、どっちがいい?」


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