白菊ほたる『災いの子』
1- 20
5: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2018/05/04(金) 23:12:42.10 ID:GasL4mJG0
 なにごとも慣れてしまえば普通というもので、自分の身に降りかかるだけだったなら、たいしたことじゃないと思えた。だけど私の不幸は、しばしば周りの人たちを巻き込んだ。
「ごめんなさい」と謝ることが口癖になった。私のせいで、ごめんなさい。

 いつからか自然と、他人と距離をとるようになっていた。傍から見れば私は、暗く、おとなしく、人付き合いの悪い、引っ込み思案な子供と映っていただろう。だけど他人が嫌いだったわけじゃない。他人を不幸にしてしまうことが嫌だった。
 私はただそこにいるだけで不幸を撒き散らす。災いをもたらす。
 だから私はそこにいてはいけないと、楽しそうに笑う人たちの姿を、いつも遠くから見ていた。

 とはいえ、子供の身である以上、現実問題として家族と距離をとることはできない。
 己の異常な体質に気付かなかった理由に、母や父もよくケガをしていたということがある。だけどそれは、同じ体質を持っているのではなかった。ケガは、私がさせていた。

 あるとき思い立って、「私がいるとあぶない?」と母に訊ねてみると、
「お母さんはいいよ、お母さんだから」と、答えになっていないような答えが返ってきた。
 それから、母は少し笑いながら、「お父さんもね」と付け加えた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
202Res/248.44 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice