9: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/06/17(日) 11:51:11.79 ID:7ZeMEN950
だが、今になって二人の記憶のゴミ箱からサルベージされたこの映画が、
一人の少女の知的好奇心を刺激して、日常におけるある疑問と答えを関連づける役目を果たしたのだ。
「つまり、ノミは人に移るんですね?」
そう言って星梨花は、納得しましたとでも言うように力強く頷いた。
この純真無垢な箱入りお嬢さんは時々双子の玩具になる。
映画の内容を説明した亜美が両手で自分の頭を抱え、
「せりかっちも見たことあるっしょ? よくひびきんが『うぎゃー』って!」
といった具合に大げさな同僚のモノマネを披露すれば。
「あれはね、ひびきんの髪にノミがいるからだよ」
と真美の方もその悪乗りに乗る形で衝撃の事実を星梨花へと突きつける。
すると人を疑うことを知らない彼女はハッと小さく息を呑み。
「してます! わたし見たことあります!!」
「ひびきんは、よくいぬ美を枕にしてるかんね」
「事あるごとに頭が痒くなるんですな〜」
「だから響さんは、あんなに頻繁に髪をかき上げて……」
「そうだそうだよせりかっち!」
「そうなのだ! いやはや全く気の毒に」
「知らなかった……。お二人ともノミに困っていただなんて」
そうして何か大きな決心をしたように、両手を胸の前で構えて見せる星梨花。
その反応に妙な違和感を覚えた姉妹は「ん?」と間抜けな声を上げると。
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