5:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 17:44:29.08 ID:TXxgAIfuO
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 「こら、セイラム!」 
  
  神父様の厳格な声色に、私の名が呼ばれたわけではないのに、私の肩が跳ねました。教会の廊下を先行くセイラムは足を止め、「はい?」と高く抜けたような声を返します。 
  
 「なんでしょう?」 
  
  目の前で黒く長い髪がスイングしました。首だけで振り向き、彼女はぞんざいに訊ねます。ここの最高責任者である司祭にこのような対応ができたのは、誰に対しても豪胆さを発揮できる特質を持つ彼女くらいのものでした。 
  
 「腕まくりをしてはいけないと、お前はいったい何度言えば……」 
 「ああ、はい。いや、そうはいいますけど神父様」 
  
  私とは違い、セイラム自身は神父様の注意などどこ吹く風かと、悪びれる様子もなくまくりあげた袖をつまみました。 
  
 「掃除なんてするときに長袖だとですね、擦ったりなんだりで超汚れるんですよ。ねえ?」 
 「はいっ?」 
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