6:名無しNIPPER[sage saga]
2018/07/14(土) 17:45:22.14 ID:TXxgAIfuO
  流れ弾は不意に来るものです。話を振られた焦りに妙な声を出してしまいましたが、私は借り物の修道服をきちんと着込んでいました。 
  
 「シスター・セイラム。私は着崩していません」 
 「うん。だからほら」 
  
  セイラムは私の手を取り掲げました。黒かった袖口にはホコリがこすれ、灰をかぶったような色になっています。 
  
 「すごい汚れてるでしょ。これじゃ生地がすぐダメになる。清貧なあたしたちが服、頻繁に買い替えちゃ問題じゃないですか?」 
 「買い替えなければいいだろう」 
 「ボロ着てろって言うんですか」 
 「そうじゃない。修繕すればいい、という話だ」 
  
  あくまで毅然とした神父様に、セイラムはひょいと顔を背けました。 
  
 「……アッタマ硬ぁーい……」 
 「聞こえてるぞセイラム!」 
  
  怒髪天を衝く。というと大げさになりますが、こぼれ落ちた彼女の本音に神父様のボルテージはひとつ上がったようです。 
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