9:名無しNIPPER[saga]
2018/07/15(日) 00:40:56.66 ID:68QvvrKK0
  
 チョコを食べ終えて、再び歩き出す。それから歩いている時間は長かったけど、ライラさんと一緒にいるとお喋りは尽きず、あっという間に折り返し地点の近くまで来た。 
  
 「大きな鳥居でございますね……」 
  
 立派な鳥居の向こうには長い石段が続いている。 
  
 「ここを登ったら、上で休憩だって。もう少しだね」 
  
 二人で鳥居をくぐり、石段を登り始める。時刻は23時すぎ。 
  
 夜の神社は澄んだ空気に包まれていた。どちらともなく喋らなくなり、黙々と登り続ける。 
  
 でも嫌な沈黙ではなかった。休憩所まで行けば、また今までみたいにおしゃべりが始まると分かっているから。出会ってまだ数時間しか立っていないのに、最初に感じた心の壁みたいな物はすっかりなくなっていた。 
  
 でも、進む先を真っ直ぐ見つめながら進む彼女はなぜか儚く見えた。 
  
 このまま登っていって、頂上で隣を見たら、もうそこに彼女はいないんじゃないか。 
  
 バカなことを考えているのは分かっているけど、そう思ってしまうほどに今のライラさんは綺麗だった。 
  
 疲れも忘れて、石段を登り続ける。 
  
  
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