24:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:37:48.53 ID:h/NAro9Ho
 全然想定していなかった言葉が、今度は私の目線を上げさせた。 
 目線の先に居たやよい。 
 その表情は……多分、笑ってた。 
  
 やよい「でも、無理しないで。伊織ちゃんに無理させちゃうのは、私もイヤだから……」 
25:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:40:35.68 ID:h/NAro9Ho
 やよい「だから、全部本当のことなの。伊織ちゃんのと、私の、全然違うって……。 
    ネクタイだけじゃなくて、他のいろんなものも。 
    でも伊織ちゃん、優しいから、今まで言わないようにしてくれたんだよね? 
    私が持ってるものとか、全然ダメだーって思っても、言わないように……」 
  
26:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:41:44.92 ID:h/NAro9Ho
 伊織「ッ……!!」 
  
 やよい「!? い、伊織ちゃん!?」 
  
 自分の胸に付いてたブローチ。 
27:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:43:20.61 ID:h/NAro9Ho
 ボロボロと涙がこぼれる。 
 やよいに掴まれた腕が、ゆっくりと下がる。 
  
 伊織「……嫌よ……私、そんなの、いや……」 
  
28:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:45:08.84 ID:h/NAro9Ho
 やよい「私も……」 
  
 ほとんど吐息みたいなその声に、私は涙でいっぱいの目を向ける。 
 やよいは……もう、笑ってなかった。 
 唇をきゅっと噛んで視線をおろす。 
29:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:46:57.45 ID:h/NAro9Ho
 やよい「い、伊織、ちゃんは、私のことがきらいで……あんなこと、言ったんじゃない、って……。 
    私、わ、わかってたのに、なのに、でも、私、わたしっ……」 
  
 伊織「やよい……っ」 
  
30:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:49:00.77 ID:h/NAro9Ho
 やよいは涙でぐしゃぐしゃの顔で、私を見る。 
 きっと私も同じような顔で、やよいの顔を見返す。 
  
 伊織「私のこと、きらいって思った気持ち、全部……全部、話して……!」 
  
31:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:50:12.50 ID:h/NAro9Ho
 やよい「私、一生懸命、作ったのに……っ……がんばった、のに……! 
    ひどいよ、伊織ちゃんっ……ひどいよぉ……!」 
  
 伊織「やよい……! ごめんなさい、本当に、ごめんなさい……! 
   私、やよいと、仲直りしたいの……だから……! 
32:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:50:48.03 ID:h/NAro9Ho
 ・ 
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 ・ 
 翌日、事務所 
  
33:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:51:48.63 ID:h/NAro9Ho
 P「なんせ、やよいの手作りだからな。そう簡単に捨てさせるわけにはいかないさ。 
  と、まぁそれは置いといて……伊織はさっきからどうしたんだ? 
  なんだかモジモジしてるし、顔が赤いようにも見えるけど」 
  
 伊織「えっ!? あ、えっと、その……。や、やよい、本当に渡さなきゃダメなの?」 
34:名無しNIPPER[saga]
2018/07/28(土) 20:52:29.80 ID:h/NAro9Ho
 伊織「そ、そうよ、感謝しなさい! 
   いつもよく働いてる下僕のために、この伊織ちゃんが特別に……」 
  
 やよい「もー、伊織ちゃん、言ったでしょ? ちゃんと正直に言わなきゃ、めっ! だよ!」 
  
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