24: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/04(土) 19:30:14.55 ID:nCh+XXic0
大野という男はとにかく死角がない男だ。
才能にあふれていたし、顔もスタイルも良い。
運動神経も抜群で正義感が強く、それでいて謙虚だし親しみやすい面も持ち合わせていた。
「さとし、頑張ってきてね。」
杉山「…おう」
俺がすごいだなんて口先だけではいくらでもいえるけど
大野「おはよう!ちゃんと受験票持った?」
大野と俺が並んでいる以上、大野よりも俺を選ぶ人がいないことなんて、少し考えればわかりきったことだったのに。
杉山「…もちろん」
笑うことにすらしんどさを感じた。
まさか、寝不足なんかじゃないだろうなと大野に顔を覗き込まれる。
目が赤いと言われて、気のせいだろと顔を伏せた。
大野「…あ、雪だ。」
大野がポツリと呟く。
空気は冷え切っていて指先がかじかみそうだった。
ポケットの中で作った握りこぶしに、去年の初詣で買った合格祈願を握りしめる。
我ながら女々しいと思った。
傷なんてまだ一ミリだって埋まっていなかった。
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