杉山「大野なんて死ねばいいのに」
1- 20
25: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/04(土) 23:31:22.22 ID:nCh+XXic0
なかった。

切符で改札を通ってホームに出ると、真っ白い空から雪が落ちてくるのがみえる。
ちょうど電車が出ていったところだった。

大野「あーあ行っちゃった。まあ時間に余裕あるし。」

独り言のようにそう呟いた大野に俺は返事をしなかった。

落ちる気は、しなかった。

大野が落ちる気も、しなかった。

一緒に受かろうなと大野は言ったけども、一緒に受かったら
また今のままが続くのだろうか。
高校大学とズルズル一緒に居続けて

もしかしたら一生、


電車が向こうから迫ってくる。
いっそこのままホームに落ちてしまえば全部終わるのかもしれない。
そうだ、このまま…

大野「杉山」

杉山「っえ」

ふいに手を掴まれた。

目の前で電車が停車する。

大野「お前震えてるぞ」

掌を大野にぎゅっと包まれた後、大野の手が遠くなる。
カイロを握らされていた。

ホームに落ちなくったって

大野「…そんな緊張すんなよ」

俺が

大野「お前なら絶対受かるから」

コイツが受かるであろう第一志望に落ちてしまえば



数学の試験。
俺は白紙の解答用紙と向かい合っていた。

数か月の血のにじむような努力が一瞬で溶けて漏れ出した。
俺が落ちたことを知った親の顔が浮かんだ。
友達の顔が浮かんだ。
大野の顔が浮かんだ。

でも妄想の中の俺は、そんな周囲の反応とは裏目に悲しんだ振りをしながらも笑いを堪えていた。


テスト後、大野はスッキリとした顔立ちだった。
やり切ったに違いない。

俺も、うっすら笑いを浮かべていた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
60Res/68.63 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice