杉山「大野なんて死ねばいいのに」
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29: ◆wIGwbeMIJg
2018/08/05(日) 17:56:32.19 ID:g6GaQPCv0
帰ろうぜ、と掠れた声で呟いた大野についていこうとしたら、後ろから不意に名前を呼ばれた。
振り返ると数人の女子がいる。

「あの…ボタン、残ってますか?」

そう言った女子は卒業式で涙を流した後なのか、目の周りが若干腫れていて瞳が潤んでおり、頬は赤く染まっていた。

杉山「大野のならもう…」

「そうじゃなくて…杉山君の」

杉山「…俺?」

こくこくと名前も知らない女子たちが頷く。

杉山「あ…少し…」

友達と押し付けあったたった一つ残った残骸はまだ俺の学ランの前を心細く繋ぎ止めている。
第二ボタンは、未練がましく過る女のことを思うとなぜか千切る気になれていなかった。


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