20: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:11:35.44 ID:OipDTOFK0
○
玄関を上がり、廊下に差し掛かった時点でいい匂いがした。
今日はハンバーグかな。
ぐぅ、とお腹が鳴る。
心なしか早足になる私だった。
ダイニングテーブルには大皿に盛られたサラダと三人分のハンバーグが並んでいた。
お父さんは箸を並べていて、お母さんはご飯をお茶碗によそっている。
「おはよ」
「ん。今日もありがとな」
「無職だし、それくらいはやらないとね」
なんていう自虐を言ったところ、寝巻きの父に苦い顔をされた。
「あれだけ頑張ってたんだから、ちょっとくらい遊ぶ期間があったって誰も文句は言わないわよ。ね、お父さん」
父の気持ちを代弁するかのように、母が割って入ってくる。
「ああ。それに、凛のおかげで今は受注できる件数も欲張れるようになってるんだから」
別に今現在無職であることを気にしているわけではないのだけどな、と言いたい気持ちがちょっとだけ沸いたが、我慢する。
加えて、今後の人生の野望のようなものも実はあったりするのだが、まだ話せる段階にはない。
だから私は「うん。ありがとう」と曖昧に返事をした。
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