21: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:12:04.38 ID:OipDTOFK0
○
洗面所で手を洗って、再び私がダイニングテーブルに戻る頃には、ご飯もスープも並んでいて、どうやら私待ちのようだった。
「ごめん。お待たせ」
言って席に着いて、家族三人揃って「いただきます」をする。
ハナコは私の隣の席にぴょんと飛び乗ってきた。
おこぼれをもらうためだ。
「今日はだめだよ。たまねぎ入ってるからね」
意味を理解しているのか、ハナコはしょんぼりした顔になる。
あとでジャーキーでもあげよう。
「そうそう、今日はお昼からお客さんが打ち合わせで来るから、午後からはお母さんがお店入るわ」
「あ、うん。ブライダルのやつだよね」
「そ。午前中の凛の担当してたお客さんは花束受け取りに来た?」
「うん、来たよ。すごい高そうなスーツ着てるおじさん。奥さんの誕生日なんだって」
「へぇー、いい旦那ねぇ」
母はにやにやして、父を小突く。
父はバツが悪そうにしていた。
「お母さんお店入るなら、私が家のことやろうか?」
「ううん。凛のおかげで午前中にほとんど終わったから、今日はゆっくりしてなさい」
「そっか。……あ、それなら私、美容院行って来てもいい?」
「切るの?」
「うん。ちょっとイメチェンしようかな、って。ほら、最近は減ったけど、それでも街なんかで声かけられることあるし」
「有名人は大変ねぇ」
「それと今日の夜ご飯なんだけど、食べてきてもいいかな」
「急ね」
「うん。いつもの」
それだけ言うと、母は「なるほどね」と笑った。
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