22: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:12:30.33 ID:OipDTOFK0
○
昼食を終え、自室に戻る。
おこぼれをもらえなかったハナコは拗ねていた。
かわいいやつめ。
小学生時から使っている勉強机の最下段にしまってある犬用のおやつを取り出す。
するとハナコは態度を急変させて、私の足元でぐるぐると回り始める。
わかったわかった、と袋からジャーキーを一本出して、残りをまた引き出しにしまった。
ジャーキーを眼前に持って行き「はい。いいよ」と私が言うと、ハナコはかぶりついた。
夢中でジャーキーをがじがじとしているハナコをよそに、私は携帯電話を操作する。
前職の頃よりお世話になっている美容師さんに電話をするためだ。
急なお願いだし、芸能人も相手にするような有名な美容師さんだから、無理だったら諦めよう。
そう思って、発信した。
数コールの内に、美容師さんは出て、こちらが名乗るより先にハイテンションな声が飛んできた。
『凛ちゃーん! 久しぶりじゃない!? いつ来るの? 今日? 明日? 空けるわよ!』
ああ、変わらないなぁ。
たまに、あまりのハイテンションについていけなくなるときもあるけれど、この人は私の憧れの人の一人でもある。
派手な髪色にも関わらず、それが無理なく似合っているし、その場にいるだけで空気を楽しいものに変えてしまうのはすごい。
まさに元気溌剌を体現したような女性だった。
「今日……なんですけど、いいんですか?」
『凛ちゃんのおかげでうちの名前が売れたようなものだもの! 恩人を無下にしたとあっては罰が当たるわ!』
「それは……その、ありがとうございます。何時くらいにお伺いしたらいいですか?」
『んー。15時でどうかしら?』
「大丈夫です。ありがとうございます」
『じゃあお店、ゴリゴリに掃除して待ってるわね!』
そう言って美容師さんは一方的に電話を切ってしまった。
私としては嬉しいけれど、超一流の美容院がこれでいいんだろうかと思わずにはいられなかった。
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