まほ「まさか、みほと入れ替わってしまうとはな……」
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名無しNIPPER
[saga]
2018/08/31(金) 19:20:43.10 ID:33mytLdE0
やがて、エリカは事前に打ち合わせていた路地に入った。そこには約束していた人物が予定通りに佇んでいる。
その人物も全身が包帯だらけだった。車椅子ではなく、松葉杖なのは最後の意地である。
車椅子に座るエリカを見て、松葉杖を突いた銀色の髪の少女は溜息をつき、
エリカ「……遅いですよ、隊長」
その声を合図に、エリカに扮していた西住まほは車椅子から立ち上がった。
全身の包帯を乱暴にむしり取る。未だ怪我を引きずるエリカと違い、まほは既に完治していた。
まほ「別れの挨拶を代わって欲しいと言ってきたのはそっちだ。私は敗者だからな、勝者のいうことは聞く」
エリカ「辛気臭いのは苦手なんですよ」
まほ「というより、ずるずる居座り続けそうだったからだろう? みほに請われると、お前は断れないからな」
エリカ「……」
ぶすっ、とした表情で小梅の待つヘリポートへ歩き出したエリカを、まほは苦笑と浮かべて追った。
まほ「エリカ、肩を貸そうか? その怪我じゃ歩くのは大変だろう」
エリカ「ええ、誰かさんが暴走したお陰で」
まほ「謝ったじゃないか……反省はしてる。みほは、私が思うよりもはるかに強くなっていたんだな」
エリカ「……そうですね。それには、同意です」
まほ「エリカにしては素直な反応だな……」
エリカ「……隊長に直接一撃を入れたのは私ですが、全てみほの作戦です。私がみほの立場だったなら、隊長を止めることはできなかった」
エリカ「みほの戦車道……その一端が、いまなら少しだけ理解できます。何故、全国大会で私があの子に勝てなかったのか……その理由も」
まほ「勝てなかった、か。エリカのことだ。当然、負けっぱなしではいないのだろう?」
エリカ「ええ、当然」
エリカ「――見つけられそうです、あの子に負けない、私の戦車道を」
数か月後。空砲の勢いでかっ飛ぶD・E・R零式を引っさげたエリカが無限軌道杯に挑むのは、また別の話である。
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