まほ「まさか、みほと入れ替わってしまうとはな……」
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名無しNIPPER
[saga]
2018/08/31(金) 19:10:57.99 ID:33mytLdE0
エリカ(た、大変なことを聞いてしまった……)
その時、逸見エリカはちょうど西住姉妹のいる部屋の前にいた。
偶然ではない。ひょんなことからみほが黒森峰の学園艦を訪れたと耳にし、何か言ってやろうと――具体的に何を言うかまでは決めていなかったが――思っていたのである。
まほに連れられて部屋に行ったというので、姉妹水入らずの会話を邪魔しないよう出待ちを始めたのが30分前。
部屋の中からみほの悲鳴と暴れるような音が響き始めたのが20分前。
そして件の一方的かつ狂った会話がたったいま終わったというわけだ。
エリカ(隊長は――みほを黒森峰に戻そうとしてる? あの子と入れ替わって、大洗に転校届を出すつもりなんだわ……)
西住みほが戻ってくる。
その未来を思い描いて、エリカは唇を噛み締めた。
エリカ(大洗に連絡しておけば、止められる。急ごう。気づかれる前にここから……)
まほ「行儀の悪いことだ。盗み聞きとはな」
エリカ「っ!?」
まほの肉声が聞こえた。この場合、肉声とは壁に遮られず、直接耳に入ったという意味だ。
廊下と部屋を隔てる壁が爆砕していた。破壊自体がほぼ無音だったのは、それが爆薬などではなくただ腕力のみで行われたことの証左である。
片手に巨大な妹入りトランクを、もう片手を構造材の粉末で白く染めながら、まほは何の気なしに壁であった部分を跨ぎ越えてくる。
まほ「さて、どこに行くつもりだった? 先回りして、みほの転校を止めるつもりだったか?」
エリカ「……隊長、考え直してください。手段が強引すぎます。その子の為にもならない――」
まほ「みほの為だよ、エリカ。この子も、本心では黒森峰に……私のところに帰りたがっている。私にはわかる。詳しいんだ」
エリカ「っ、その子は! 大洗で、ここでは見つけられなかった自分の戦車道を!」
まほ「待て待て、建前で話すのはやめよう……結局、お前はみほよりも自分のことを考えているんじゃないか?」
まほは目の前の副隊長を見定めるよう、じっ、と硝子の様な視線を向ける。
まほ「この子が帰ってくれば、次期隊長はみほになるだろうからな。お前の行動は、それを防ぐための保身ではないと言えるか?」
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