真壁瑞希「恋するアセロラ・サイダー」【ミリマスSS】
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30: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:05:03.27 ID:3wSsqTkg0

「たかだか三十秒くらいのCMだけど、かなり色んな表現描写もあるから、瑞希にとって大きなステップアップになると思う」

 それから彼は私をじっと見据えた。視線が私の心をとらえ、私は息を飲んだ。

「撮影は十日後だから。期待してるぞ、瑞希」

「……はい」

 嘘偽りない表情で期待していると言われたら、どうしてもその期待に応えたいと思ってしまう。

 しかし、あまりにタイムリーな仕事だ。息巻いて仕事を引き受けたのはよかったが、内容が内容だから、彼への返事をつい躊躇してしまった。私が「好きです」と言えなくなってしまった彼から、「好きです」と言わなければならない機会を貰うというのは、多少の皮肉である。いや、彼は私の苦悶すら見透かしているのだろうか? 胸元にナイフの切っ先を突き付けられたときのような、冷たく鋭い緊張が胸を貫く。

 絵コンテの最後のコマと、隣に書かれた「女性は一言、『好きです』と男性に告白する」という説明が、私の目を捉えて離さない。



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