真壁瑞希「恋するアセロラ・サイダー」【ミリマスSS】
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30: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:05:03.27 ID:3wSsqTkg0

「たかだか三十秒くらいのCMだけど、かなり色んな表現描写もあるから、瑞希にとって大きなステップアップになると思う」

 それから彼は私をじっと見据えた。視線が私の心をとらえ、私は息を飲んだ。

以下略 AAS



31: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:05:49.72 ID:3wSsqTkg0

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以下略 AAS



32: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:06:36.80 ID:3wSsqTkg0

「瑞希、そろそろ」

 撮影が始まるから、とプロデューサーが声をかけに来た。

以下略 AAS



33: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:07:16.90 ID:3wSsqTkg0

 不安がゼロだといえば嘘になる。演技の練習をしていたときも、妙に落ち着かない気分にしばしば陥った。特に最後の「好きです」という台詞を発した後は、虫が服の中をモゾモゾと動くような気味の悪さを覚えた。その不安を払うために練習を何度も繰り返したが、部屋を鳴らす私の声の残響が、いつまでも耳に残った。

 とはいえ、演技は演技だ。それに、せっかく彼が私のためにと選んできてくれた仕事だから、期待に応えられるようバッチリとこなしたい。
 
以下略 AAS



34: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:08:36.20 ID:3wSsqTkg0

 このCMに登場する女性は意中の男性に今日こそ告白しようと心に決めている。だから、彼女は彼との会話にうわの空で、緊張しながら告白のタイミングを図っているのだろう。

「こんなに寒いと、風邪引かないように気を付けないといけないな」

以下略 AAS



35: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:10:40.88 ID:3wSsqTkg0

 そして、男性の方へ目を向けたとき、カメラの向こう側に立つプロデューサーの姿が私の目に映った。一瞬だったが、それは永遠の出来事に感じられた。

 私は身体と、そして心のすべてが氷漬けされたように、まったく動けなくなった。彼の姿がネガフィルムのようにくっきりと網膜に焼き付いたように見え、それ以外は闇で覆われるように真っ暗になる。それまで感じていた、両手に持つ紅茶の温もりも、並木道を抜ける風の冷たさもすべて失せてしまった。

以下略 AAS



36: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:13:22.58 ID:3wSsqTkg0

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以下略 AAS



37: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:15:08.49 ID:3wSsqTkg0

 プロデューサーに付いて行く形で、暗い並木道をしばらく歩いていると、CMの撮影スタッフから先ほどの演技が好評だったと彼が言った。

「特に間がよかった、ってすごく評判だったよ。相手役の言葉を遮るタイミングとか、あと何より、告白するときの溜めが完璧だったって。いやあ、べた褒めだったよ」

以下略 AAS



38: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:16:38.66 ID:3wSsqTkg0


「そうそう、飲料会社の広報とさっき話したけど、別の商品のCMにも瑞希を使いたいって言ってたぞ? それで......瑞希?」

「プロデューサー、どうしましたか? ......あれ?」
以下略 AAS



39: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:18:03.56 ID:3wSsqTkg0


 感情が溢れだすと、私はせき止めることができなかった。声を上げて泣きたくなる気持ちを必死に抑えようと歯を食いしばると、私の唇は小刻みに震えた。

「いつもあなたは私のことを受け入れてくれるのに、私はどう返したらいいのか分からない......!」
以下略 AAS



40: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:20:31.27 ID:3wSsqTkg0

 彼はどんな顔をしているだろうか。溢れ出す涙は、目に映る光景をにじませてしまい、何もはっきりと見えない。

「だから、私は......あなたがっ......!」

以下略 AAS



41: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:21:48.71 ID:3wSsqTkg0





以下略 AAS



42: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:22:37.59 ID:3wSsqTkg0

 自分自身が驚くほど、あっけなく言葉が出た。

「好きですっ。......あなたが、好きです」

以下略 AAS



43: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:24:10.27 ID:3wSsqTkg0

「私は......、私は、あなたがっ......!」

 突如、目の前が真っ暗になり、心地よい温かさが私の体を覆った。彼が、私の体を抱き締めたのだ。

以下略 AAS



44: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:25:57.58 ID:3wSsqTkg0

「瑞希、ありがとう。でも......」

「……分かってます、プロデューサー。私のこの想いだけは、受け入れられないって」

以下略 AAS



45: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:27:10.27 ID:3wSsqTkg0

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以下略 AAS



46: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:28:04.07 ID:3wSsqTkg0

 昼下がり、私はシアター前の広場に出た。開演までは時間があるせいか、人の往来はまばらだ。私は、広場の隅っこに店を構える屋台へ向かった。広場を挟んでシアターと対角線にあるにもかかわらず、その極彩色の屋台は、私の目の前にあるかのように、はっきりと居場所を伝えている。

「アセロラ・サイダーを、一つください」

以下略 AAS



47: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:29:53.90 ID:3wSsqTkg0

 アセロラ・サイダーを手にした私は、シアターへ戻らず、そばにある海沿いの土手に腰を下ろした。先日には木枯らしが吹いたりと、冬の足音が聞こえだしたが、今日は暖かな陽気に包まれている。

 弾けたサイダーの泡から甘酸っぱい香りが広がると、思わずゴクリと私の喉が鳴った。

以下略 AAS



48: ◆kBqQfBrAQE[sage]
2018/11/12(月) 23:31:08.29 ID:3wSsqTkg0



おわり

以下略 AAS



49: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2018/11/12(月) 23:43:24.76 ID:K6HT/CRU0
まかべー書くの珍しいと思ったけど好みの瑞希ssでした
乙です

真壁瑞希(17)Da/Fa
i.imgur.com
以下略 AAS



50: ◆kBqQfBrAQE[sage]
2018/11/12(月) 23:59:33.39 ID:3wSsqTkg0
>>49
画像先輩ありがとうございます!
「異国のひととき」を見てからいつか瑞希で一本書きたいなと思っていたので、今回書けて良かったです。
シンフォニーイベで触れてから瑞希はずっと気になってました。


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