真壁瑞希「恋するアセロラ・サイダー」【ミリマスSS】
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44: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2018/11/12(月) 23:25:57.58 ID:3wSsqTkg0

「瑞希、ありがとう。でも......」

「……分かってます、プロデューサー。私のこの想いだけは、受け入れられないって」

「......ごめん」

「いえ、あなたは何も悪くないです。明日からはいつもと変わらない瑞希に戻ります。......でも、あと少しだけでいいので、......もう少し、このまま、抱き締めて......」

 私は頭を彼の胸元に押し付けると、私を強く抱き締めてくれた。彼の体の温かさが一層感じられるようになった。

「瑞希。伝えたいこと、伝えてくれて本当にありがとう」

 本当にずるい人だ。こんな時ですら優しいのだから。

 彼は、私の気持ちを真剣に受け止めてくれた。だからこそ、彼は私の気持ちを受け入れなかった。

 優しさというのは残酷だ。容赦なく人を傷つけたかと思えば、ためらいもなく救いの手を差し伸べてくる。ああ、優しさというのはあまりに残酷なものだ。

 いよいよ私は、声を押し殺すことができなくなった。彼の薄手のコートの中で、私の鳴き声がくぐもって響く。明かりに照らされる木の葉の赤さも、並木道を吹き抜ける風の冷たさも分からない。分かるのは、私を包む彼の優しい温もりだけだ。

 私の気持ち、伝えることができて、よかった。



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