バットマン「グランド……オーダー?」レオナルド「その3だね」
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478: ◆GmHi5G5d.E[saga]
2018/12/23(日) 22:26:17.36 ID:G22OK9G00



「学習しました」


 マシュはたった一言だけ言い放ち、重い音を立てて盾を放った。ビリー達がケルト兵と戦う音が遠くなり、二人の周囲の空間は断絶されたかの如く静まり返る。一対一。以前の焼き直しになるか? いや。デスストロークもまた、無限に学習する戦士。


「そうか。お前は強いからな」


 デスストロークも剣を放り捨てた。アレは近距離戦闘では僅かに取り回しが悪い。素手で戦わねば、若干の有利を相手に与えてしまう。そして何より、マシュの前で素手で戦った事は『ない』。未だ学習されていない戦闘スタイルだ。慣れる隙も与えず、一気に圧し潰す。


 風が通り抜け、葉がこすれて音を鳴らす。マシュとデスストロークは睨み合う。マシュが一歩、踏み出す。デスストロークも一歩、踏み出す。だが互いに飛び掛からない。この一歩は互いにフェイントじみた動作。カウンターを呼び、それにカウンターするための布石。だがどちらも慎重であり、そうやすやすと敵の思惑には乗らない。

 さらに一歩、互いに踏み出す。互いに臆する色は瞳に無い。既に素手での攻撃範囲内。だが互いに手を出さず、相手の心を読もうと努める。さながら居合の瞬間、達人同士でどちらが速いかを極限まで計算するかの如く……一瞬を読み合う時間が続く。マシュの筋肉が動いた。デスストロークが霞んだ。


 その瞬間を先んじたのは、やはりデスストロークだった。彼は余計なものを捨てており、ゆえに彼に迷いはなかった。マシュの拳に先んじて、傭兵の拳がその喉を打った。

 彼女はよろめいた。勝機と見るや、彼は容赦なく飛び掛かる。拳を繰り出す。マシュは辛うじて防御。二段の蹴り上げ。マシュは辛うじて防御。ソバット。躱し切れず、頬に直撃。体勢を崩した彼女の頭部へ、更に蹴りが直撃。更に蹴りが直撃。更に蹴りが直撃。

 耳鳴りが満たす思考の中、マシュは後退しながら必死に腕を上げようと試みた。デスストロークが力強く踏み込み、破滅的威力の正拳突きを彼女の鳩尾へと叩き込んだ。マシュは吐血し、心臓が止まった事を自覚した。


(嫌だ。まだ)


 いかにも単純な思考で、だが強い力で、マシュは死に抗った。そしてその言葉を思い出した。


(((心せよ、マシュ。人が戦う時、最も強い原動力となるのは────……)))


 マシュは命を燃やした。





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