67: ◆GO.FUkF2N6[sage saga]
2018/12/23(日) 21:23:17.44 ID:l63Jdi8N0
  ✉ 
 「はい、オッケー! 本番もよろしく!!」 
  
  本番前のリハーサル。 
  ディレクターのその言葉を皮切りに、スタジオから出演者が散らばっていく。 
  その中の小さな人影に向かって手を振る。 
  
 「おつかれさま、仁奈ちゃん。すごくよかったよー」 
  
 「ありがとーごぜーます! 生放送もがんばるですよ!」 
  
  仁奈ちゃんはキョロキョロしながら、不安と期待が入り混じった顔であたしに訊いてきた。 
  
 「ママはまだ来てねーでごぜーますか?」 
  
 「あー、うん。ええとね」 
  
  もう本番まで2時間をきっているというのに、いまだに仁奈ちゃんのママの姿は見えない。 
  さすがにしびれをきらしたプロデューサーが、ついさっき電話をしに行ったところだ。 
  
 「もうすぐ着くと思うよ。ほら、ママが来たら教えてあげるから、友達のところに行っておいで」 
  
  不思議そうな顔をしつつも、トコトコと友達がいる輪に向かって走って行く仁奈ちゃん。 
   
  ふっー。なんとかごまかせたかな。 
  冷や汗をかきながら待つこと数分、額に汗を貼り付けてプロデューサーがやってきた。 
  
  
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