77: ◆GO.FUkF2N6[saga]
2018/12/26(水) 19:01:06.84 ID:9rFSBGbj0
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  ソファーの上からすやすやと寝息が聞こえる。 
  
  幸せそうな顔で眠っている、その小さな体に抱き着いてひと眠りしようか、なんて思ってみたけど、時計の短針は7の数字を突き刺している。 
  いまから寝るのはお昼寝とは言わないし、せっかく炊き上がったご飯が冷めてしまう。 
  しょうがない。 
  
 「起きて、仁奈ちゃん」 
  
  体を揺すると、仁奈ちゃんは瞼をこすりながらむくりと起き上がった。 
  それから鼻をひくひくさせたかと思えば、 
  
 「カレーだー!」 
  
  寝ぼけ眼もどこかにいったみたい、お目目をキラキラさせて叫んだ。 
  
 「いま出来上がったばっかりだよー。さあ食べようか」 
  
  ふたりで食卓につく。それじゃ、おててを合わせて。 
  
  
 「「いただきまーす」」 
  
  仁奈ちゃんは豪快にスプーンですくい、ぱくりと口に運ぶ。 
  
 「だいじょうぶ? 辛くないかな?」 
  
 「すげーうめーでごぜーます! 仁奈、志希おねーさんのカレーだいすきでごぜーますよ!」 
  
  よかったよかった。 
  あのとき以来、カレーつくってなかったからちょっと不安だったんだよねー。 
   
  でもそっか、もうあれから2か月近く経つんだね。 
  時間が経つのはあっという間。 
  仁奈ちゃんと暮らしだしたのつい最近な気がするのに、一緒に生活するのも今日で最後なんだもん。 
  
  明日、仁奈ちゃんを迎えにママがやってくる。 
  やっと暮らせるようになるのだ。 
  ずっとずっと会いたかった、ママといっしょに。 
  
  
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