男「この俺に全ての幼女刀を保護しろと」
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16:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 05:57:45.44 ID:ThCWRdKl0
幼刀保護の旅に出た紺之介と愛栗子は伝説の幼刀七本が内の一つ幼刀乱怒攻流 -らんどせる-を求め、情報部隊の控え書きを元に都から十里ほど離れた隣街を目指していた……のだが




17:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 05:58:43.22 ID:ThCWRdKl0
愛栗子「紺、わらわは団子が食べたいぞ」

二人はまだ都すら出ておらず、昼間は毎日十人ほどの行列ができるほどだという都一の茶屋を前に愛栗子は容姿相応の駄々をこねていた。先を急がんとする紺之介の着物の裾を内に引きしわを作る。

紺之介「何故刀が団子をせびる。お前ら幼刀のその姿はもはや可視できる霊体といっても過言ではない。食わずとも倒れぬだろう」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage]
2019/03/07(木) 05:59:17.72 ID:ThCWRdKl0

紺之介には先を急ぎたい理由があった。まず第一にしてこの愛栗子を一刻もはやく収蔵品に加えたいということ。そうしてもう一つは今も浴び続けている町民の視線から逃れること。

大好木に魂を封印された第一の幼刀にしてその根拠から彼が最も愛した絶世の美少女と謳われる愛栗子は茶屋に並ぶ者たちの視線すら集めていたのである。その様子まさに凝視の行列。まだ茶屋に並ぶと決めていない二人は並んだところで当然最後尾なのだが、そこに並んだ人々が皆目的地の茶屋とは逆方向を向いているという異様な光景であった。

以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 06:00:37.41 ID:ThCWRdKl0

さてこれらの理由から延々と立ち往生する訳にもいかず、だからといって子どもの躾のように置いて先を行ったところで大して付いていく理由のない愛栗子はここに残るであろうことを紺之介は予測できていた。なんならこの娘、己の美とそれに向けられる視線を自覚していないはずもなく放って行こうものならば今行列を構成している誰にでも団子をせびろうとするであろう。

愛栗子「そうけちけちするでなぃ。わらわは知っておるのだぞ? 紺おぬし今、確か羽振りよく振る舞えるはずじゃろう?」

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 06:02:53.31 ID:ThCWRdKl0
紺之介(っ、この小娘……!)

仕方なく折れた紺之介は渋々茶屋へ並ぶも顔には早くも旅に疲れた表情が伺える。この愛栗子の鞘と共に腰に吊るした巾着に重々しくあるのは確かに百両。特に遊びと商いに手を出さぬならば何もせずとも暮らせる金でもあるが、これには旅賃も含まれているのだ。

今までまともな仕事をしておらずその上刀の収集に手入れといったことを趣味にしているためか財産の殆どをそちらに当てている貧乏侍はどんな些細な無駄遣いでも避けたいというのが本音であった。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER
2019/03/07(木) 06:03:56.62 ID:ThCWRdKl0
愛栗子「よかったのう紺。わらわのような絶世の美少女と共に団子を頬張れるのじゃ。このようなことどんな遊廓に転がり込んでも叶わぬことぞ?」

その一方で愛栗子は久しき現代の露離魂町を満喫していた。その顔はとてもこれからどのようなことが起こるとも分からぬ幼刀収集の旅に赴こうという表情ではない。愛栗子の顔にほだされて旅の気が抜けぬよう紺之介はすっかり彼女の高飛車冗句を無視して並んでいる間に控え書きに改めて目を通していた。

紺之介(幼刀は愛栗子を含めて全てで七振り……)
以下略 AAS



22:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 06:04:28.31 ID:ThCWRdKl0

『大好木に最も愛されたとされる少女の魂が封じられし刀、愛栗子』

『舞うような剣さばきで怒涛で独特の攻め方と切れ味を持つ刀、乱怒攻流-らんどせる-』

以下略 AAS



23:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 06:05:33.33 ID:ThCWRdKl0
愛栗子「ふむぅ……懐かしい名ばかりじゃの〜」

愛栗子が控えを持つ紺之介の腕を掴んで下ろした。

紺之介「この控えは封じられた幼刀の順に書かれてるらしいな。やっぱりお前が一番大好木に可愛がられてたのか」
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 06:07:44.81 ID:ThCWRdKl0
愛栗子「好かれておったのは事実じゃろう。大事にされておったのも事実じゃろうて。しかしそれは他のやつらも同じ……そしてわらわは美し過ぎたが故に最も将軍様の愛からは遠い存在じゃったのではないかの」

またも高飛車冗句かと一瞬呆れかけた紺之介であったが愛栗子の表情が先ほどのものと全く違うことに気がつき思わず詳細を求めた。

紺之介「どういうことだ?」
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 06:09:17.11 ID:ThCWRdKl0

愛栗子は掴んでいた紺之介の腕を更に引いて抱いてみせた。

愛栗子「のぅ、紺……もしこの身体でもまだ叶うならばわらわはまことの恋愛というものをしてみたい。心から人を愛してみたいのじゃ……おぬし露離魂の持ち主なのであろう? ならばここは一つ刀集めなぞやめてわらわと駆け落ちしてみぬか?」

以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga]
2019/03/07(木) 06:11:55.64 ID:ThCWRdKl0
紺之介「それは劇場の見過ぎというやつだ。それに俺には少女を愛でる趣味どころかもはや女を抱くことすら十一のときに飽きている」

愛栗子「なんと!」

紺之介「俺が子どもの頃はまだ武士が刀を握るだけでそれなりの地位を保てていた時代でな……父は護衛業一本で銭を重ねて母は無理することもなかった。そのとき父は何人かの妾を雇っていて、その内の三人くらいを十のときに俺も頻繁に抱かせてもらっていた」
以下略 AAS



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