古澤頼子「眠れない夜に」
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2: ◆foQczOBlAI[saga]
2019/03/31(日) 23:47:08.19 ID:wwyKhzBr0


部屋に響く時計の針の音、決まったテンポで刻まれるそれがいやに大きく感じた。

そのままベッドにいても眠れないままなので勢いをつけて起き上がる。

春に近づいてきたとはいえやっぱり夜中は冷えるもので、寒さがより頭を冴えさせる。

完全に眠れなくなった、なにか暖かいものでも飲もうかな。

薬缶をコンロの火に掛けると同時にそれで冷えた手を温める。しばらくぼーっとしていたら鳴り始めた笛によって意識を戻された。

いつもよりミルクと砂糖を多めに入れたコーヒーを作る。

暖かくて甘くて、落ち着く味。こんな時間にこんなものを飲んでいるなんて、脳裏に浮かんだトレーナーさんにごめんなさいと謝罪する。

なにかをしていないと落ち着かないが特にテレビなどは見る気にはなれなかった。

なんとなく窓から夜空を見てみても星も月も見えなかった。

夜はどこまでも暗くて、街灯の存在だけがここが闇の中ではないことを教えてくれる。

不意に孤独感が込み上げてきた。一人でいるのが寂しい、誰かを感じていたいよ。



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