5: ◆x8ozAX/AOWSO[saga]
2019/04/05(金) 17:29:23.65 ID:iywvaqaG0
  
  
  
 「……はづきさんに書類を渡しに来た。どうだ?」 
  
 「……………………けっ」 
  
  沈黙の後、拗ねた様に結華はそっぽを向いた。 
  対して背後からは、くすくすと笑うはづきさんの声。 
  
 「正解です、プロデューサーさん」 
  
 「よーし、どうだ結華。これでも結構結華の事分かってるつもりなんだぞ」 
  
 「……へーへーそーですよーだ。三峰ははづきさんに書類を渡しに来ただけです。さっさとコーヒー飲んでさっさと帰るつもりだったのです。なのにPたんが帰って来たからワザワザコーヒー淹れてあげてるんだからもっと感謝すべきじゃないかなぁ?」 
  
  それはまぁ、感謝しているが。 
  けれどそこまで不機嫌になられても、こちらとしては理由が分からない。 
  問1を答えたら問2を用意された気分だ。 
  そしてまたしても、結華の事について。 
  
 「さーて、私はそろそろ帰りますね。プロデューサーさんはまだ事務所に残りますか?」 
  
 「んー、このコーヒー飲み終えたら帰るつもりです。その間に雨が弱くなってくれてると嬉しいんですけど……」 
  
 「雨、こんなに強いですから……あ、でもカフェインの摂り過ぎには注意して下さいね?」 
  
 「分かってますって、一杯で十分です」 
  
 「……ふふっ、お疲れ様でした」 
  
 「お疲れ様です、はづきさん」 
  
  バタンッ、っと扉が閉じられる。 
  そして再び雨音は遠くなり、部屋に響くのは時計の針とソーサーにぶつかるカップの音だけとなった。 
  
  
15Res/14.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20